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こんな経営者が、若い人を使い捨てにしている

こんな経営者が、若い人を使い捨てにしている
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1012/10/news007.html
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1435039&media_id=40
(Business Media 誠 - 12月10日 13:13)


企業志向について(出典:毎日コミュニケーションズ) 写真:Business Media 誠
 経営規模にこだわることなく、会社を選ぶ学生が増えているという。毎日コミュニケーションズが最近まとめた「2012年卒マイコミ学生就職モニター調査 10月の活動状況」によると、学生の大企業志向は2年連続で減少している。こうした動きを受けて有識者の中には「中小やベンチャー企業に行くと、大企業で得られないやりがいを感じることができる」と後押しする人も現れた。

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 私は、その立場に与しない。メディアが「こういう学生を“いいカモ”にする経営者がいる」といったことを伝えないのは問題だ。この事実を覆い隠して「中小やベンチャー企業に行けばやりがいのある仕事ができる。だから学生よ、規模にこだわるな」とはとても言えない。

●若い奴らの98%は甘ったれ

 3年前、ビジネス雑誌の取材で社員20人ほどの人材コンサルティング会社を取材した。年間売上は3億円、創業6年目のベンチャー企業だ。経営者は、30代半ばの男性。印象に残っている言葉はこのようなものだった。

 「『会社が悪い』『上司がダメだ』と言っている若い奴らの98%は甘ったれ。給料分を稼ぐことができないのに、批判をするな。うちにも数人いたが、辞めさせた」――。

 実は、この経営者も元“甘ったれ”だ。本人に聞くと、都内の私立大学を卒業後、7~8年で4~5つの会社を変わった。退職する理由は、そのほとんどが「上司が自分を認めない」というもの。部下が上司を批判することが「甘え」ならば、彼自身も会社員のころに「甘えていた」と言える。つまり、上司を批判するいまの部下は、かつての自分なのである。

 このことを問い掛けると、私をにらみつけた。会社員のころ、このように意にそぐわないことがあると、きっと「上司が悪い」と怒って退職したのだろう。経営者である今は文句を言う社員を辞めさせている。それは、自らが証言する通りである。要するにこの人は自己中心的な考えなのだ。自分の上司への批判は許される。しかし、部下が自分を批判することは許さない。

 私はこういう経営者を批判するつもりはない。この20年ほど、ベンチャー企業の経営者を取材してきて思うことなのだが、得てしてこういったタイプが多いのだ。大体、4~5人に1人はこの類である。矛盾に満ちていながらそれを絶えず正当化する、ふてぶてしい“タマ”でないと、厳しい世の中で会社を存続させることは無理なのかもしれない。

●成功の体験が失敗を生む

 彼らが持つこの「負のエネルギー」は、大切なものだと思う。例えば、ベストセラーを次々と表すことで知られる、コンサルタントの神田晶典氏は著書『非常識な成功法則』(フォレスト出版)でこう書いている。

 「お金のないところから、お金を得るまでは『悪の感情』は非常にプラスになる。学歴がないことを見返してやる、貧乏だったことを見返してやる、(中略)という欲求は、巨大なエネルギーになる。グランドゼロから離陸するのは、エネルギーが必要なんだろう。」(237ページから抜粋)

 神田氏は、さらにこう述べる。「ところが、成功に向かって走るときに、すでに失敗の萌芽が生まれつつあるのである」(237ページより抜粋)。前述のベンチャー企業の経営者は、売上10億円まではいまのペースで行くのかもしれない。しかし彼の傲慢な考え方では、そこで息詰まるのではないだろうか。

 10億円の壁の前に、ベンチャー企業の多くの経営者は精神的につぶれていく。そして上場を断念し、名もなき中小企業のままで生涯をひっそりと終えていく。これが日本に非常に多い、中小企業の一断面である。

 経営者たちが息詰まるのは、売上8~9億円で社員数が大体30~60人ほどになったころだ。ここまでは経営者や一部の役員、稼ぎまくるマネージャーらの力でたどり着く。しかし、8~9億円になると破たんする。この規模になると、経営者や役員らの目が行き届かない。各々がバラバラの行動をとり、がむしゃらに進んでいくやり方がもう通用しない。

 すると、何かが起きる。例えば、有力な社員がデキル部下を引きつれて退職をしたり、大スポンサーがいなくなったりする。社員の定着率はすこぶる悪い。慢性的に人の出入りがあり、人材育成はできていない。つまり、株式会社としての体制になっておらず、個人事業主の集まりでしかない。

 そこで、賢明な経営者は傲慢な考えをあらためる。そして、皆の力を借りつつ組織戦に切り替え、上昇していく。だが、それはごく少数しかできない。大多数は、組織を作ることができない。皆の力を1つに結集させて、組織として闘う仕組みを作ることができないのだ。

 例えば、1つのプロジェクトでいえば、経営者はその隅々まで把握しないと気がすまない。一応、リーダーを設けるのだが、「あいつでは信用できない」として権限を与えない。いや、奪ってしまい、また自分が仕切る。創業のころから1人で突っ走ってきたくせが抜けないのだ。

 これが、社内のさまざまな部署で起きる。さすがにこれでは管理職は育たない。だから、管理職の離職率は大企業と比べると高い。それも無理はない。経営者が管理職の仕事をしているのだから、しらけてしまうのだろう。そこに20~30代も不満を募らせて辞めていく。こういう会社を無批判に記事に掲載する記者や編集者は、このあたりの事情にうとい。

●年間売上10億円の壁

 取材を通して観察していると、大半の経営者はこの自己中心的な考えを変えることができない。だからこそ、ベンチャーの企業の大多数は20~30年後、中小企業で終わっていく。

 神田氏の言うように、経営者たちは成功していくプロセスにおいて失敗をする何かを体得してしまうものなのだ。成功体験が失敗体験を生んでいくとも言える。

 今後、ベンチャー企業や中小企業に行こうと思う人は、志望先の会社の売り上げを見てみるといい。売り上げが10億円の前で何年も止まっている場合、その会社の内情は私が説明したものに近い可能性が高い。すべての会社とは言わないが、売上10億円の前で勢いが止まる会社にこういう症状が見られるケースが多いことは事実である。

 しかし、経営者は自らの非を認めない。そして「役員が悪い」「社員がダメだ」「メインバンクがよくない」と言い逃れをする。実はその心こそ、うまくいかない大きな要因なのである。ところが労組もなく、反主流派の役員もいない中で彼に意見を言える人はいない。

 若い人が「やりがい」を求めてこういった会社に入社しても、明るい未来があるように思えない。それでも「中小やベンチャー企業に行くと、大企業で得られないやりがいを感じることができる」と言い切ることができるだろうか。

 ベンチャー企業や中小企業を見定める1つの基準として、10億円の壁をあっという間に乗り越えたかどうか、というのがある。息詰まることなく、15、20億円と伸ばしていく会社は組織の力を、つまり、皆の力を生かした闘いをしている可能性が高い。その意味で何年かにわたり、売り上げを調べることを勧めたい。

 小さな会社に行けば、それですぐにやりがいを感じるとは私は決して言えない。【吉田典史,Business Media 誠】

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2010年12月21日 12:40に投稿されたエントリーのページです。

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